過酷な自然が育てた、小さな生命アイスランドは、植物にとって決して恵まれた環境ではありません。
冬は長く、厳しい寒さと強風にさらされ、大地は雪や氷に覆われます。
しかし、その長い冬が終わると、アイスランドには短くも力強い夏が訪れます。
この季節には「白夜」と呼ばれる現象が起こり、太陽はほとんど沈むことなく、
一日中大地を照らし続けます。植物たちは、この限られた短い季節に、
できるだけ多くの光を浴び、一斉に芽吹き、驚くほどの勢いで花を咲かせます。
まるで桜のように、長い冬の間に蓄えてきた生命力を、一気に解き放つかのように。
ビオラ・トリコロールも、そのひとつ。
荒々しい火山の大地や、冷たい風が吹き抜ける草原に静かに根を張り、
紫・白・黄色の可憐な花を咲かせます。小さな花だからこそ、
その生命力は驚くほどたくましい。
長い冬に耐え、白夜の恵みを受けながら力強く生き抜くその姿は、
まさにアイスランドの自然そのものです。
この植物は、日本では「ワイルドパンジー」、ヨーロッパでは
Heartsease(ハートシーズ)という名前でも親しまれています。
Heartseaseとは、「心を癒す花」「心を穏やかにするもの」という意味。
何世紀にもわたり、人々の暮らしに寄り添ってきた植物です。
中世ヨーロッパでは、肌荒れや湿疹、乾燥、かゆみなどをケアする植物として知られ、
ハーブティーや湿布など、さまざまな形で生活に取り入れられてきました。
また、現代ではフラボノイドやサポニン、ポリフェノールなどを含む植物として
知られ、スキンケア成分としても注目されています。
アイスランドの人々は、昔から厳しい自然と向き合いながら暮らしてきました。
必要なものは、できる限り自然からいただく。植物もまた、食べ物であり、薬であり、
暮らしを支える大切な存在でした。
アイスランドに自生するビオラ・トリコロールについても、古い植物資料には、
その葉を牛乳で煮て飲み、皮膚のトラブルを和らげる目的で利用していたという
民間療法が記されています。
薬がなかった時代、人々は植物を観察し、その恵みを暮らしの中で生かしてきました。
ビオラ・トリコロールも、そんな植物のひとつだったのです。
火山と氷河がつくり上げた大地には、その土地でしか育まれない植物の物語があります。
ビオラ・トリコロールもまた、北極圏の厳しい自然の中で静かに咲き、
人々の暮らしに寄り添い続けてきた、小さくも力強い生命です。
TARAMARは、そんな植物たちが受け継いできた歴史や文化、
そして自然への敬意を大切にしています。
アイスランドの豊かな恵みを、できる限り自然のままに。その一滴に宿る、
北極の植物の生命力を、皆さまのもとへお届けします。